「全国スコア」の読み方 — 市区町村データを偏差値で見る入門

公開: ・ マチパワー 編集

当サイトでは、全国1,741市区町村の統計を「全国スコア」という共通のものさしで表示しています。これは統計学でいう偏差値そのもので、全国平均がちょうど50になるように変換した値です。この記事では、このスコアの仕組みと、数字を読み違えないための注意点を説明します。

なぜ生の数値ではなく偏差値なのか

市区町村の統計は、単位も桁もバラバラです。人口は「人」、家賃は「円」、犯罪は「件/千人」。たとえば「保育所が84か所/10万人」という数字を見ても、それが多いのか少ないのか、単体では判断できません。

偏差値に変換すると、どの指標も「全国の中でどの位置にいるか」という同じ意味を持つようになります。50なら全国平均ちょうど、60なら上位およそ16%、40なら下位およそ16%です。単位の違う35の指標を並べて見比べられるのは、この変換のおかげです。

また、人口や地価のように一部の大都市だけ桁違いに大きい指標は、そのまま平均すると分布が歪みます。当サイトではこうした指標に対数変換を挟んでから偏差値化し、「桁の暴力」で他の指標がかすまないようにしています。詳しい算出方法はデータについてで公開しています。

1〜3点の差は「誤差の範囲」と考える

スコア52の街と50の街に、体感できるほどの差はまずありません。統計の元データには調査年のずれや標本誤差があり、偏差値化ではわずかな順位の入れ替わりが日常的に起きます。当サイトが総合スコアの近くに「1〜3点の差だけで判断しないでください」という注意書きを置いているのはこのためです。

目安として、55以上なら明確に強い、45以下なら明確に弱い、その間は「全国並み」と読むのが実用的です。

総合1位でもスコアは60 — 圧縮のしくみ

総合スコアの全国1位は東京都千代田区ですが、そのスコアは60です。「1位なのに60?」と意外に思うかもしれません。これは総合スコアが35指標・9カテゴリの平均だからです。どんな街にも得意分野と不得意分野があるため、平均を取ると値は50の近くに寄っていきます。逆に言えば、総合スコアで55を超える街は、幅広い分野で穴がない、かなり珍しい街だということです。

小さな町村が上位に来る理由

ランキングを見ると、人口数千人の町村が意外な分野で全国上位に入っていることがあります。たとえば人口10万人当たりの医師数の全国1位は、東京でも大阪でもなく岩手県矢巾町(約2,010人/10万人)です。これは大学附属病院が立地する町の人口が小さいため、「人口当たり」の値が大きく出るからです。

人口当たり指標は公平な比較のために必要な加工ですが、分母(人口)が小さい自治体ほど値が振れやすいという性質を持ちます。上位の顔ぶれに小さな自治体が並んでいたら、「実数はどれくらいか」もあわせて確認するのがおすすめです。当サイトでは主要な件数指標に総量(実数)を併記しています。

スコアにできないこと

全国スコアは公的統計から機械的に算出した相対位置であり、街の魅力の絶対評価ではありません。物価の安さ、スーパーの充実、特定の駅への通勤時間といった生活実感に直結する情報は、市区町村単位の公的統計が存在しないため扱っていません。データはあくまで候補を絞る道具として使い、最後は現地と一次情報での確認をおすすめします。

本記事の数値は、政府統計の総合窓口(e-Stat)・国土数値情報・J-SHIS 等の公的データをもとに当サイトが算出したものです(記事公開時点)。最新の値や算出方法は データについて をご確認ください。

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